「2026年から社会保険料を会社が肩代わりしてくれるって本当?」
「パートなら社会保険料を払わなくてよくなる?」
「106万円の壁の撤廃と関係あるの?」
2026年は、パートやアルバイトなど短時間労働者の社会保険をめぐる制度が大きく変わります。
なかでも注目されているのが、社会保険料の本人負担を会社側が多く負担できる特例措置です。
結論からいうと、一定の条件を満たす短時間労働者について、会社が通常より多く社会保険料を負担し、本人の負担を軽くできる仕組みが導入されます。
ただし、
「2026年から会社が全従業員の社会保険料を肩代わりしてくれる」
という制度ではありません。
対象者や期間などに条件があります。
この記事では、2026年から注目される「社会保険料の会社による肩代わり」とはどのような制度なのか、106万円の壁との関係も含めてわかりやすく解説します。

社会保険料を会社が肩代わりするって本当?
社会保険料は原則として、会社と従業員で負担します。
例えば厚生年金保険料は労使折半が基本です。
ところが2025年に成立した年金制度改正法では、社会保険の適用拡大に伴い、新たに社会保険へ加入する短時間労働者の負担を軽減するための特例が設けられました。
簡単にいうと、
本来なら従業員が負担する社会保険料の一部を、会社が追加で負担できる
という仕組みです。
そのため「会社が社会保険料を肩代わりする制度」と表現されることがあります。
2026年から何が変わる?
大きな背景にあるのが、いわゆる**「106万円の壁」の見直し**です。
これまで一定規模以上の会社で働くパート・アルバイトなどは、
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 2カ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
などの条件を満たすと、勤務先の健康保険や厚生年金の加入対象となっていました。
この「月額8.8万円以上」を年収換算すると約106万円となることから、「106万円の壁」と呼ばれています。
しかし、2026年10月にはこの月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃される予定です。
つまり今後は、年収106万円という金額よりも**「週20時間以上働くかどうか」**が重要になってきます。
なぜ会社が社会保険料を肩代わりするの?
理由の一つが、社会保険に加入した直後の手取り減少を抑えるためです。
例えば、これまで社会保険に加入していなかったパート従業員が、新たに社会保険へ加入したとします。
給与が同じでも、
健康保険料や厚生年金保険料などが給与から差し引かれるため、手取りが減ることがあります。
すると、
「社会保険に入りたくないから勤務時間を減らそう」
「週20時間未満に抑えよう」
と考える人が増える可能性があります。
これでは、106万円の壁を見直しても、新たに「20時間の壁」ができてしまいます。
そこで、社会保険へ加入した直後の本人負担を軽減するために用意されたのが、今回の特例措置です。
会社が社会保険料を全額払ってくれるの?
ここは誤解しやすいポイントです。
すべての社会保険料を会社が無条件で全額負担する制度ではありません。
厚生労働省が示している仕組みでは、一定の要件を満たす短時間労働者について、事業主と従業員の合意に基づき、会社側が通常より多く保険料を負担できるようにします。
つまり通常の、
「会社50%・従業員50%」
という労使折半から、対象者について会社側の負担割合を増やすことが可能になるイメージです。
その分、従業員側の社会保険料負担が軽くなり、社会保険へ加入したことによる急激な手取り減少を抑えられます。
誰が社会保険料の肩代わりの対象になる?
この特例の対象として想定されているのは、社会保険の適用拡大によって負担が発生する比較的賃金の低い短時間労働者です。
特に重要なのが標準報酬月額です。
厚生労働省によると、特例の対象は標準報酬月額12.6万円以下の短時間労働者とされています。
したがって、
「年収に関係なくすべてのパートが対象」
「正社員も全員会社に肩代わりしてもらえる」
という制度ではありません。
会社の負担割合はどのくらい?
特例では、賃金が低い人ほど本人の保険料負担を軽くできるような仕組みが設けられます。
特に標準報酬月額8.8万円の場合には、本人負担を大幅に軽減できる設計となっています。
その後、賃金が上がるにつれて本人の負担割合も段階的に増えていきます。
最終的には通常の労使折半へ近づいていく仕組みです。
そのため「会社が永久に社会保険料を払ってくれる制度」というわけではありません。
社会保険料の肩代わりはいつから?
特例措置については、2026年10月からの施行が予定されています。
これは106万円の壁となっている賃金要件の撤廃と同じタイミングです。
そのため2026年10月は、パート・アルバイトで働く人にとって非常に重要な制度変更のタイミングとなります。
これまで、
「106万円を超えないように働こう」
と考えていた人も、今後は勤務時間や社会保険加入後の手取りを確認しながら働き方を考える必要があります。
会社に肩代わりしてもらえば手取りは減らない?
特例が利用されれば、社会保険加入直後の手取り減少を抑えられる可能性があります。
ただし、注意したいのは会社が必ず特例を利用するわけではないことです。
会社側にも追加の保険料負担が発生するからです。
そのため2026年10月になったら、
「対象者だから自動的に会社が払ってくれる」
とは限りません。
勤務先が特例制度を導入するのかどうかを確認する必要があります。
会社側にはメリットがある?
会社からすると、従業員分の社会保険料を追加負担することになるため、単純に考えればコストが増えます。
しかしメリットも考えられます。
例えばパート従業員が社会保険加入を避けるために勤務時間を減らしている会社では、特例を利用して手取り減少を抑えることで、
「もっと働いてもらいやすくなる」
可能性があります。
人手不足の企業にとっては、パート・アルバイトの就業調整を減らし、人材を確保しやすくなる効果が期待できます。
106万円の壁はなくなるけど新たに「20時間の壁」?
2026年10月に賃金要件が撤廃されると、「年収106万円」という数字の重要性は小さくなります。
一方で重要になるのが、
週20時間
という基準です。
そのため、
「106万円の壁がなくなっても、今度は週20時間の壁ができるのでは?」
という指摘があります。
例えば週19時間なら社会保険の適用対象にならないケースでも、週20時間になれば加入対象になる可能性があります。
こうした「20時間未満に抑えよう」という就業調整を減らす意味でも、本人負担を軽減する今回の措置が重要になってきます。
130万円の壁はどうなる?
106万円の壁と混同しやすいのが130万円の壁です。
106万円の壁は、勤務先の社会保険に加入する基準に関係します。
一方の130万円の壁は、配偶者などの社会保険上の扶養に入れるかどうかに関係する基準です。
そのため、
「106万円の壁が撤廃される=130万円の壁もなくなる」
というわけではありません。
また勤務先の社会保険の加入要件を満たせば、年収130万円未満であっても、自分で勤務先の社会保険に加入することがあります。
2026年からパートの働き方はどうすればいい?
これまで扶養内パートでは、
「年収106万円を超えない」
「年収130万円を超えない」
といった年収ベースの考え方が一般的でした。
しかし今後は、
年収+週の労働時間+勤務先の規模+社会保険加入後の手取り
をまとめて考える必要があります。
特に「週20時間を少し超えるくらい」の人は、社会保険加入後の手取りを確認しておくことが重要です。
会社が保険料負担を軽減する特例を導入するかどうかによっても、実際の手取りは変わってきます。
社会保険料の会社負担についてよくある質問
Q.2026年から会社が社会保険料を払ってくれる?
すべての従業員について会社が社会保険料を全額負担する制度ではありません。
一定の短時間労働者について、会社側が通常より多く保険料を負担し、本人負担を軽減できる特例措置です。
Q.いつから始まる?
2026年10月からの施行が予定されています。
Q.パートなら全員対象?
全員ではありません。
標準報酬月額12.6万円以下などの要件が設けられています。
Q.会社は必ず肩代わりしないといけない?
いいえ。
会社が必ず従業員の保険料を追加負担する仕組みではありません。制度を利用するには労使双方の合意などが必要です。
Q.106万円の壁と関係ある?
大きく関係しています。
2026年10月には、106万円の壁のもとになっている「月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃される予定です。
社会保険の適用範囲が広がることで発生する手取り減少への対策の一つとして、今回の特例措置が設けられています。
まとめ|2026年の「社会保険料を会社が肩代わり」は全員対象ではない
2026年から「社会保険料を会社が肩代わりする」と聞くと、
「社会保険料を会社が全部払ってくれるようになる」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、実際は少し違います。
ポイントをまとめると、
- 2026年10月から新たな特例措置がスタート予定
- 一定の短時間労働者が対象
- 標準報酬月額12.6万円以下などの条件がある
- 会社が通常より多く社会保険料を負担できる
- 従業員の社会保険料負担を軽減することが目的
- 会社が必ず導入する制度ではない
- 106万円の壁の撤廃と同じ2026年10月が大きな転換点
つまり、「社会保険料の肩代わり」は、社会保険へ加入することで手取りが急激に減るのを抑え、働き控えを防ぐための仕組みと考えるとわかりやすいでしょう。
2026年10月以降に社会保険の加入対象となりそうなパート・アルバイトの人は、「自分が社会保険の対象になるか」だけでなく、「勤務先が保険料負担の特例を利用するか」も確認することが重要になりそうです。






