「刑務作業って給料はいくらもらえるの?」
「普通の仕事みたいに時給が決まっている?」
「刑務所から出るときには、いくらくらい貯まっているの?」
刑務所では、受刑者が製品の製作や施設内の仕事など、さまざまな刑務作業を行っています。
そこで気になるのが刑務作業でもらえるお金です。
結論からいうと、刑務作業でもらえるお金は一般企業の給料とは大きく異なります。
そもそも法律上は通常の「給料」や「賃金」と同じものではなく、一定の基準に基づいて作業報奨金が計算されます。
この記事では、
- 刑務作業の給料はいくらなのか
- 月収・時給にするとどのくらいなのか
- なぜ一般の給料より安いのか
- 刑務所内でお金を使えるのか
- 出所するときはいくらもらえるのか
- 拘禁刑になって刑務作業はどう変わったのか
などをわかりやすく解説します。
※制度や金額は改定されることがあります。本記事では仕組みを中心に解説しています。

刑務作業の給料はいくら?
まず知っておきたいのが、刑務作業でもらえるお金は一般企業で働いたときの「給料」とは性質が違うということです。
受刑者と刑務所の間に通常の雇用関係があるわけではありません。
そのため、最低賃金を基準に給料が支払われる仕組みでもありません。
刑務作業を行った受刑者には、その作業などに応じて作業報奨金が計算されます。
法務省の公表資料では、刑務作業に従事した受刑者1人当たりの作業報奨金について、月額平均で数千円程度という水準が示されてきました。
一般社会で働く場合と比べると、かなり少ない金額です。
「1日働いたら数千円」というイメージではなく、
1か月作業して数千円程度
と考えたほうが実態に近いでしょう。
刑務作業は時給いくら?
「月数千円なら、時給にするといくら?」
と気になりますよね。
しかし、刑務作業の作業報奨金は一般的なアルバイトのように、
「時給1,100円×8時間」
という単純な給与制度ではありません。
作業報奨金は作業の種類や成績などを踏まえて計算されるため、「刑務作業の時給は一律○円」とはいえません。
仮に月の作業時間を一般的な労働時間に近い160時間程度として、月4,000~5,000円程度を単純計算すると、
1時間当たり25~31円程度
になります。
ただし、これは制度上の「時給」ではありません。
あくまで金額感をイメージするための単純計算です。
なぜ刑務作業の給料はこんなに安い?
ここで多くの人が疑問に感じるのが、
「毎日作業するのに月数千円なの?」
という点でしょう。
理由は、作業報奨金が一般社会で働いて受け取る労働の対価としての賃金ではないからです。
一般企業の場合、
労働者が会社と雇用契約を結ぶ
↓
仕事をする
↓
会社から賃金を受け取る
という関係があります。
一方、刑務作業は一般企業への就職とは違います。
受刑者の改善更生や社会復帰などにつなげる処遇の一環として実施されるものであり、通常の雇用関係に基づく労働とは性質が異なります。
そのため、
「最低賃金より安いから違法なのでは?」
という話には単純にはなりません。
刑務作業ではどんな仕事をする?
「刑務作業」という言葉から、工場のような場所で単純作業をするイメージを持っている人も多いでしょう。
実際にはさまざまな作業があります。
代表的なものとしては、
- 木工
- 印刷
- 洋裁
- 金属加工
- 革製品製作
- 紙製品などの製作
- 炊事
- 洗濯
- 清掃
などがあります。
刑務所によって設備や作業内容は異なります。
また、出所後の就職につなげる目的で職業訓練が行われる場合もあります。
つまり刑務作業には単に製品を作るだけでなく、規則正しい生活や働く習慣を身につけ、社会復帰につなげる役割もあります。
刑務作業でも昇給する?
刑務作業では、誰でもずっと同じ金額というわけではありません。
作業報奨金の計算には、作業の種類や成績などが関係します。
そのため、
「刑務所へ入ったら全員毎月○○円」
という単純な制度ではありません。
長期間服役している受刑者の場合、作業内容などによって報奨金に違いが出ることがあります。
ただし、一般企業のように、
「昇進して年収500万円」
「資格を取ったので月給30万円」
といった水準になるわけではありません。
基本的には一般社会の給与とは大きく異なる金額です。
刑務作業のお金は毎月現金でもらえる?
ここも大きな違いです。
一般の会社員なら給料日に銀行口座へ給料が振り込まれます。
しかし刑務所で、
「今月の給料です」
と受刑者へ現金がそのまま渡されるわけではありません。
作業報奨金は一定のルールに基づいて計算され、原則として釈放時に支給される仕組みになっています。
そのため、受刑者が毎月自由に現金を持って買い物へ行けるわけではありません。
刑務所の中でお金は使える?
刑務所の中で一般社会と同じように財布を持ち、
「今日はコンビニでお菓子を買おう」
という生活をするわけではありません。
刑事施設内では現金の所持や物品の購入について厳格なルールがあります。
一定の条件で自弁物品を購入できる場合がありますが、好きなものを自由に購入できるわけではありません。
刑務作業でもらう作業報奨金についても、
「今月5,000円稼いだから全部使おう」
という一般的な給料の感覚とは異なります。
刑務作業のお金は出所時にもらえる?
原則として、作業報奨金は釈放時に支給されます。
そのため、服役期間が長ければ、
「出所するときにはかなり貯まっているのでは?」
と思う人もいるでしょう。
しかし、月額が一般社会の給与と比較して非常に少ないため、長期間作業していても大きな金額になるとは限りません。
3年間刑務作業したらいくら貯まる?
ここでは分かりやすく、仮に平均して毎月5,000円相当の作業報奨金が積み上がったとします。
5,000円×12か月=6万円
3年間なら、
6万円×3年=18万円
です。
仮に5年間なら、
5,000円×60か月=30万円
となります。
ただし、これは単純なシミュレーションです。
実際の作業報奨金は作業内容や期間、成績などによって異なりますし、施設内で一定の用途に使う場合などもあるため、
「3年服役すれば必ず18万円もらえる」
という意味ではありません。
出所するときのお金だけで生活できる?
出所後の生活を考えると、作業報奨金だけでは十分ではない場合があります。
出所すれば、
- 住居
- 食費
- 衣類
- 携帯電話
- 交通費
- 就職活動費
など、さまざまなお金が必要になります。
数万円~数十万円程度では、長期間生活することは難しいでしょう。
そのため、出所後の住居や仕事をどう確保するかは社会復帰における重要な問題です。
刑務所では出所後の生活を見据えた社会復帰支援なども行われています。
刑務作業で作った商品の売上は受刑者に入る?
刑務作業で作られた製品は、一般向けに販売されることがあります。
刑務所作業製品を見たことがある人もいるでしょう。
家具やバッグ、革製品、日用品などさまざまな商品があります。
そこで、
「1万円の商品を作ったら、その一部が受刑者の給料になるの?」
と思うかもしれません。
しかし一般企業の歩合給のように、
商品価格の○%が製作者本人へ入る
という仕組みではありません。
商品の販売価格と受刑者個人の作業報奨金は別の仕組みです。
刑務作業のお金から被害者へ賠償するの?
犯罪被害者への賠償について、
「刑務作業で稼いだお金から自動的に被害者へ支払われるの?」
と疑問に思う人もいるでしょう。
刑務作業をしたからといって、作業報奨金がすべて自動的に被害者へ渡るという単純な制度ではありません。
一方で、受刑者が被害者への賠償や慰謝のためにどのような行動を取るかは、改善更生を考えるうえで重要な問題です。
刑務作業の報奨金と民事上の損害賠償は、基本的に分けて考える必要があります。
拘禁刑になって刑務作業はどうなった?
2025年6月1日から、日本では従来の懲役刑と禁錮刑が「拘禁刑」に一本化されました。
ここは刑務作業について調べている人にとって重要なポイントです。
従来の懲役刑では、所定の作業を行わせることが刑罰の内容に含まれていました。
一方、新しい拘禁刑では、従来の懲役刑のようにすべての対象者へ刑罰として一律に作業を義務付ける仕組みではありません。
受刑者それぞれの特性に応じ、改善更生や円滑な社会復帰のために必要な作業や指導を行う制度へ変わっています。
拘禁刑なら刑務作業をしなくてもいい?
「じゃあ拘禁刑になった人は働かなくてもいいの?」
と思うかもしれません。
これも少し違います。
拘禁刑では、受刑者の改善更生や社会復帰のために必要であれば作業を行わせることができます。
つまり、
「刑務作業が廃止された」のではありません。
従来の、
「懲役刑だから作業をする」
という一律の考え方から、
「その人の改善更生や社会復帰にはどんな処遇が必要か」
を重視する方向へ変わったと考えると分かりやすいでしょう。
刑務作業と普通のアルバイトを比較すると?
分かりやすく整理すると次のようになります。
| 比較 | 刑務作業 | 一般的なアルバイト |
|---|---|---|
| お金 | 作業報奨金 | 給料・賃金 |
| 雇用契約 | 通常の雇用とは異なる | あり |
| 最低賃金 | 通常の賃金とは制度が異なる | 原則適用 |
| 月額 | 数千円程度の水準 | 勤務時間によって数万円~十数万円以上 |
| 自由に仕事を選ぶ | 制限あり | 原則本人が選択 |
| 主な目的 | 改善更生・社会復帰など | 収入を得ることなど |
「刑務所の中で普通の会社員と同じように働いて給料をもらっている」というイメージとはかなり違います。
刑務作業は1日何時間くらい?
刑務所では決められた日課に従って生活します。
起床して点検や食事などを済ませた後、日中に作業や各種指導などが行われます。
ただし、刑務所や受刑者の処遇内容によってスケジュールは異なるため、
「全国どこでも毎日必ず○時間働く」
と単純に決まっているわけではありません。
拘禁刑の導入によって、今後は作業だけでなく、改善指導や教育などを個々の受刑者に応じて組み合わせることがより重視されます。
よくある疑問
刑務作業にもボーナスはある?
一般企業の夏・冬の賞与のような「ボーナス」が支給される仕組みではありません。
作業報奨金は一般的な会社員の給与制度とは異なります。
刑務作業にも最低賃金は適用される?
刑務作業の作業報奨金は、通常の雇用契約に基づく賃金とは性質が異なります。
そのため、一般のアルバイトと同じように地域別最低賃金を掛け合わせて支払う制度ではありません。
出所時に100万円以上もらえることはある?
作業報奨金は一般的な給料よりかなり低い水準なので、単純に「長く服役すれば高額な給料が貯まる」と考えるのは適切ではありません。
実際に釈放時に受け取る金額は、服役期間や作業状況、使用状況などによって異なります。
刑務作業をすれば年金や社会保険に入れる?
一般企業へ就職して働く場合とは制度が異なります。
刑務作業を通常の会社員としての雇用と同じものと考えないほうが分かりやすいでしょう。
まとめ|刑務作業の「給料」は月数千円程度が目安
刑務作業について、
「毎日働くなら月に10万円くらいもらえるのでは?」
と思っていた人もいるかもしれません。
しかし、刑務作業で支給されるのは一般企業の給与と同じものではなく、作業報奨金です。
公表されてきた水準では、1人当たりの月額平均は数千円程度。
仮に月5,000円なら、単純計算で年間6万円です。
一般社会のアルバイトと比べれば非常に少ない金額になります。
これは刑務作業が通常の雇用契約に基づく労働ではなく、受刑者の改善更生や社会復帰などにつなげる処遇として行われているためです。
さらに2025年6月からは懲役刑と禁錮刑が廃止され、拘禁刑へ一本化されました。
拘禁刑では刑務作業そのものがなくなったわけではありませんが、従来の懲役刑のように作業を刑罰として一律に義務付ける仕組みから変化しています。
「刑務作業=安い給料で働く仕事」ではなく、「社会復帰などを目的とした処遇の一つで、作業に応じて報奨金が計算される」
と理解すると分かりやすいでしょう。
※作業報奨金の基準や刑務作業の運用は改定される可能性があります。具体的な最新金額については法務省などの最新資料をご確認ください。






