会社や学校などで人を評価する場合によく用いられるのが「絶対評価」と「相対評価」という用語です。
あなたはこの違いをきちんと説明できますか?
なんとなくわかっているようでわかっていない「絶対評価」と「相対評価」。
その違いと長所と短所についてもわかりやすく解説したいと思います。
Contents
絶対評価とは?
絶対評価とは、その人物の能力をあらかじめ決められた基準に従って評価することをいいます。
最大の特長は同じグループや集団に属する他の人の能力に関係なく、あらかじめ設定された基準で評価されることです。
たとえば、絶対評価を導入しているある学校のテストで、以下のような基準が設定されていたとします。
・100~80点 評価5
・79~60点 評価4
・59~40点 評価3
・39~20点 評価2
・19~0点 評価1
仮に全員が100点を取ったとします。
すると、絶対評価の場合、他人との比較はされないので、全員が評価5です。
相対評価とは?
相対評価とは、同じグループや集団の中でその人がいる位置で評価されます。
上記の学校の例で言うと、相対評価の場合は、
・10% 評価5
・15% 評価4
・50% 評価3
・15% 評価2
・10% 評価1
となります。
たとえクラス全員が100点を取ったとしても、相対評価の場合は人数制限があるため、10%の人しか評価5をもらうことができないのです。
絶対評価と相対評価の違い
では、ここで絶対評価と相対評価の違いをまとめておきます。
・絶対評価「グループや集団に属する他の人の能力に関係ない」
・相対評価「グループや集団に属する他の人の能力に関係する」
これが最大の違いです。
では、次にそれぞれの長所と短所を見ていきましょう。
絶対評価の長所
絶対評価のメリットは、数値化された明確な基準があること。
100点取れば、全員が評価5であるため、常に公平です。
目標が明確なため、モチベーションも上がりやすく、不満も出にくいという長所があります。
相対評価の長所
一方、相対評価のメリットは、より高い目標に向かって努力できること。
順位を付けられることで、互いが切磋琢磨することで、組織やグループが向上します。
たとえば、決められた売上目標をクリアすることを絶対評価にしている会社があったとします。
この場合、ノルマを達成すれば、問題なく評価されます。
これは確かにわかりやすいのですが、目標を達成したのだから、もうそれでいいやという甘えを生みかねません。
そうすると、その組織は停滞してしまう可能性があります。
しかし、売上で営業マンを順位付けする相対評価であれば、さらなる高みを目指すことも可能になるのです。
絶対評価の短所
絶対評価の短所は、その組織やグループが停滞してしまう可能性があること。
たとえば、決められた売上目標をクリアすることを絶対評価にしている会社があったとします。
この場合、ノルマを達成すれば、問題なく評価されます。
これは確かにわかりやすいのですが、目標を達成したのだから、もうそれでいいやという甘えを生みかねません。
そうすると、逆に社員のモチベーションが下がってしまうこともあるのです。
結果的に、組織は停滞してしまう可能性があります。
相対評価の短所
相対評価の短所は、順位付けがフェアでない場合があることです。
同じように努力して結果を出しているのに、評価が違う。
そうした不満が出ると、組織はうまく行きません。
また、全員の売上が期待外れだったとしても、順位付けしなければなりません。
そうすると、評価する上司の判断が偏る可能性が出てきて、社内の不満を増大させてしまいます。
マラソン代表選考会で考える絶対評価と相対評価
どちらも一長一短のある絶対評価と相対評価。
ちょっと視点を変えて、マラソンでみてみましょう。
2019年9月15日に行われたMGC・東京オリンピック代表選考会では、2位以内が出場権を得るという条件でした。
どんなに記録を出しても、3位ではダメです。
これは完全な相対評価です。
一方、日本のマラソン界には特別ボーナス制度があります。
日本記録を更新すれば、賞金1億円が与えられるという制度。
これは完全な絶対評価で、順位に関係ありません。
何位だったとしても、日本記録を上回れば、賞金が出ます。
では、ひとつの大会で、複数の選手が日本記録を更新したらどうなるでしょう。
ボーナスをもらえるのは、1位の選手だけです。
なぜなら、1位の選手が日本記録保持者だから。
つまり、この場合は相対評価が取り入られます。
しかし、別の大会であれば、それぞれ1億円もらえる。
考えてみれば、何かおかしいと思いませんか?
条件によって、絶対評価が相対評価に変わるんですから。
このように絶対評価と相対評価は条件によっては変わりうるものなのです。
絶対評価と相対評価はどちらがいい?
これは非常に難しい問題ですが、学校の場合は「絶対評価」を取り入れるべきだという声が多いようです。
これは集団の中で優劣をつけることはネガティブな結果を招くという危惧が広まってきたからです。
子供たちに対しては、「公平で客観的な評価制度」を導入する。
それが評価の信頼性を高めることになるという考え方です。
一方、会社などの組織でも、最近は絶対評価を重視する傾向が出てきています。
理由はやはり社員を納得させやすいということ。
そして、納得できる数値目標があれば、社員それぞれが成長しやすい。
相対評価は内容が不透明になりがちだったこともあり、絶対評価に切り替えるべきだと考える企業が増えているのです。
まとめ
ということで、絶対評価と相対評価についてみてきましたが、あなたはどう考えますか?
絶対評価を取り入れる会社や学校が増えてきたのは、個々を大切にするという時代の流れなんでしょうね。
一方で、スポーツなどの世界は、相対評価です。
順位やランキングで評価される厳しい勝負の世界。
それはそれで感動やドラマを生むことも事実です。
絶対評価と相対評価。
どちらも必要なものであることは間違いなさそうです。
場面場面で最適な使い分けが求められるということなんでしょうか。