フランス語やイタリア語、ドイツ語などヨーロッパの言語を学んだことがある人ならこんな疑問を持ったことはありませんか?
「なぜ男性名詞と女性名詞があるの?」
日本語や英語には男性名詞と女性名詞はないため、なぜだろう?と思った人も多いのでは?
ちなみに、ドイツ語には中性名詞もあります。
そこで、イタリア語、フランス語、ドイツ語に男性名詞と女性名詞がある理由を調べてみました。
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イタリア語、フランス語、ドイツ語のルーツ
イタリア語、フランス語、ドイツ語などヨーロッパの大半の言語はインドヨーロッパ語族がルーツです。
インドヨーロッパ語は今から 5000~6000 年前にユーラシア大陸の黒海付近で話されていた言語。
ちなみに、ラテン語もインド・ヨーロッパ語族のイタリック語派の言語のひとつで、 イタリア半島の古代ラテン人によって使われていました。
ドイツ語は「ゲルマン語派」と呼ばれるグループに分類されます。
英語は古ドイツ語がルーツで、大昔には名詞の性別がありましたが、今はほぼ消滅しています。
ヨーロッパの言語に性別がある理由
インドヨーロッパ語では、男性と女性はオスメスのある生物を示す名詞に用いられ、無生物名詞は中性に分類されていたと考えられています。
ヨーロッパの言語に男性名詞、女性名詞、中性名詞があるのはこのためです。
それが後に生物以外を表す名詞にも用いられるようになるのですが、実はどういう基準で名詞の性別が分類されたのかは不明だとされています。
何らかの分類法が存在したかもしれませんが、男性名詞と女性名詞に明確な分け方はなかったようです。
ヨーロッパ各国の性別名詞のある言語
ヨーロッパ各国の主な言語で名詞に性別があるものを分類すると次のようになります。
・フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語→男性名詞と女性名詞
・ドイツ語→男性名詞と女性名詞と中性名詞
男性名詞と女性名詞の謎
男性名詞と女性名詞でよく例にあげられるのは、フランス語の「太陽」と「月」です。
太陽は「soleil(ソレイユ)」で男性名詞。
月は「lune(リュヌ)」で女性名詞。
イメージしやすいですよね。
しかし、男性名詞だからと言って男らしい、女性名詞だからと言って女らしいものとは限りません。
たとえば、フランス語の戦争(guerre)と暴力(violence)。
これらの言葉は一見男性名詞にみえますが、実は女性名詞です。
一方、鏡(miroir) は、女性名詞にみえますが、男性名詞です。
一体なぜこうなったのか?まったく謎ですよね。
ちなみに、イタリア語のスプーンとフォーク。
・スプーン cucchiaio 男性名詞
・フォーク forchetta 女性名詞
これも反対でもいいような気がしますね(笑。
ちなみに、ドイツ語の一例をあげると、
・男性名詞 Regen 雨
・中性名詞 Kind 子供
・女性名詞 Blume 花
男性名詞と女性名詞の冠詞
英語の場合、名詞の前に「a」「the」という冠詞を付けますが、イタリア語やフランス語など男性名詞と女性名詞がある言語は異なります。
・男性名詞の前に付ける場合は「le」
・女性名詞の前に付ける場合は「la」
フランス語のベンチとテーブルは、
「banc(ベンチ)」は男性名詞なので、「le banc」
「table(テーブル」女性名詞なので、「la table」
となります。
フランス語の外来語は男性名詞
フランス語は外来語のほとんどは男性名詞に分類されます。
たとえば、
・「寿司」 le sushi
・「漫画」 le manga
・「カラオケ」 le karaoké
・「相撲」 le sumo
・「柔道」le judo
・「畳」 le tatami
ちなみに、さすがに芸者は女性名詞で「la geisha」です。
ドイツ語の冠詞
ドイツ語は男性名詞にはder、中性名詞にはdas、女性名詞にはdieを付けます。
まとめ
ということで、フランス語やイタリア語、ドイツ語の男性名詞と女性名詞についてご紹介しましたが、最後にまとめてみましょう。
・男性名詞と女性名詞に明確な分け方はない
・男性っぽい女性名詞、女性っぽい男性名詞もある
・フランス語の外来語は男性名詞
日本語には男性名詞と女性名詞という分類がないため、日本人にはピンとこないかもしれませんね。