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陸上競技やマラソンを見ていると、選手の肩や背中、脚などに黒や紫色の丸い印が付いていることがあります。

「丸いアザみたいだけど何?」

「何かの治療を受けた跡?」

「テーピングやドーピングと関係あるの?」

と気になった人もいるのではないでしょうか。

あの丸い印の正体として考えられる代表的なものが、「カッピング(吸い玉)」を行った後に残る跡です。

カップを皮膚に密着させ、内部を陰圧にして皮膚を吸引する施術で、丸いカップの形に沿って赤や紫、黒っぽい跡が残ることがあります。

この記事では、陸上選手やマラソンランナーの体に見られる黒い丸い印の正体について、なぜ丸くなるのか、カッピングにはどのような効果が期待されているのかまでわかりやすく解説します。

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陸上選手の黒い丸い印の正体は「カッピング」の跡?

陸上選手などの体に見られる、くっきりとした丸いアザのようなもの。

その代表的な正体が、

カッピング(吸い玉・吸角)

を行った際にできる跡です。

カッピングは、ガラスやプラスチックなどで作られたカップを皮膚に当て、その内部を陰圧にして皮膚を吸引する施術です。

施術後には、

赤色
赤紫色
濃い紫色
黒っぽい色

などの円形の跡が残ることがあります。

カップ自体が丸いため、まるでスタンプを押したような丸い跡になるわけです。

なぜマラソンランナーがカッピングをするの?

マラソンや陸上競技では、日々の激しいトレーニングによって筋肉に大きな負担がかかります。

そのため選手は、

ストレッチ
マッサージ
アイシング
入浴
睡眠
栄養管理

など、さまざまな方法でコンディションを整えています。

その選択肢の一つとして、カッピングを取り入れているアスリートもいます。

カッピングは、痛みや筋肉の張りなどのケアを目的として利用されることがあります。

ただし、ここで注意したいのが、

「トップアスリートが利用している=科学的に効果が証明されている」

とは限らないことです。

米国の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、カッピングについて研究は行われているものの、その多くは質が高くなく、痛みを軽減する可能性はあるもののエビデンスは強くないとしています。

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カッピングはどうやって行う?

一般的なカッピングでは、まず専用のカップを皮膚の上に置きます。

その後、カップ内部の空気を減らすことで陰圧を作り、皮膚をカップの中へ吸い上げます。

イメージすると、

皮膚に大きな吸盤を付けて吸い上げる

ような状態です。

昔ながらの方法では火を利用してカップ内を陰圧にすることがありますが、現在ではポンプなどを利用して空気を抜くタイプもあります。

NCCIHによると、カッピングには皮膚を傷つけない「ドライカッピング」と、皮膚に小さな傷を付けて行う「ウェットカッピング」などがあります。

スポーツ選手の体に丸い跡があるからといって、どの方法を受けたのかまで見た目だけで判断することはできません。

なぜ黒や紫色の丸い跡になる?

カッピングをすると、カップによって皮膚が強く吸引されます。

その影響によって皮膚に一時的な変色が起こり、丸い跡として残ることがあります。

色には個人差があり、

薄いピンク
赤
赤紫
濃い紫

などさまざまです。

見た目がかなり濃い場合には、

「ものすごく痛そう」

「ケガをしているのでは?」

と感じるかもしれません。

しかし、カッピングによる跡の場合は施術によって生じた一時的な皮膚の変化です。

NCCIHも、カッピングでは一時的な皮膚の跡が残ることがあると説明しています。

黒いほど体が悪いって本当?

カッピングについて検索すると、

「色が濃いほど血流が悪い」
「黒い部分には毒素がたまっている」
「悪いところほど濃くなる」

といった説明を目にすることがあります。

しかし、このような説明をそのまま医学的な事実として受け取るのは注意が必要です。

特に「黒い跡=体内の毒素が出ている」といった説明には、十分な科学的根拠が確立しているとはいえません。

NCCIHも、一般的な「デトックス」によって体から毒素を除去できるという主張について、説得力のある研究結果は乏しいとしています。

そのため、

「跡が黒いから体のその部分が悪い」

と自己判断するのは避けた方がよいでしょう。

カッピングの跡はどれくらいで消える?

カッピングによる丸い跡は、通常は一時的なものです。

ただし、

吸引する強さ
施術時間
皮膚の状態
体質

などによって跡の濃さや残る期間は異なります。

そのため「必ず○日で消える」と一律にはいえません。

NCCIHでは、カッピングの副作用として一時的な跡のほか、持続する皮膚変色や傷痕、やけど、感染などが起こる可能性も挙げています。

長期間消えない、強い痛みがある、皮膚に異常が起きているといった場合には、医療機関へ相談した方がよいでしょう。

カッピングにはどんな効果がある?

カッピングを受ける人は、

筋肉の張りを軽減したい
痛みを和らげたい
疲労した体をケアしたい
コンディションを整えたい

といった目的で利用することがあります。

では、実際に科学的な効果は証明されているのでしょうか。

NCCIHによると、カッピングについては複数の研究がありますが、その多くは研究の質が低いとされています。

痛みの軽減に役立つ可能性はあるものの、現時点では強いエビデンスがあるとはいえません。

また、それ以外の健康状態に対して有効かどうかを判断できるほど、質の高い研究が十分にそろっているわけでもありません。

つまり、

「カッピングをすれば確実に疲労が取れる」

「カッピングをすれば競技パフォーマンスが上がる」

と断言できるものではないのです。

カッピングで血流が良くなる?

カッピングでは皮膚を吸引するため、施術部分では血流などに変化が起こる可能性があります。

このことから「血流改善」をうたう施設もあります。

しかし、

局所的な生理反応が起こること

と、

マラソンのタイムが速くなること

は別の話です。

「血流が変化するから持久力が上がる」「記録が良くなる」といった競技パフォーマンスへの効果まで確立しているわけではありません。

アスリートが取り入れているコンディショニング方法の一つ、と考えるのが適切でしょう。

オリンピック選手にも丸い跡が見られる?

カッピングが世界的に注目されるようになったきっかけの一つが、国際大会に出場するトップアスリートです。

陸上競技だけでなく、

水泳
体操
格闘技
球技

など、さまざまな競技の選手がカッピングを利用することがあります。

肌の露出が多い競技では、肩や背中に並んだ丸い跡がテレビにはっきり映るため、

「あの丸いアザは何?」

と話題になることがあります。

ただし、テレビ画面だけを見て「この選手はカッピングをしている」と断定することはできません。

似たような皮膚の変化には別の原因も考えられるためです。

カッピングはドーピングなの?

黒い丸い跡を見て、

「何か特殊な薬を使っているの?」

と疑問に思う人もいるでしょう。

カッピングは薬物を体内へ入れて競技能力を高めるものではなく、皮膚にカップを当てて吸引する施術です。

そのため、体に丸いカッピング跡があること自体を見て、

「ドーピングをしている証拠」

と考えるのは間違いです。

ただしアスリートが薬やサプリメントなどを併用する場合は、別途アンチ・ドーピング規則を確認する必要があります。

カッピングに危険性や副作用はある?

カッピングは、

「自然療法だから絶対安全」

というわけではありません。

NCCIHでは副作用として、

皮膚の変色
傷痕
やけど
感染

などを挙げています。

また、湿疹や乾癬などの皮膚疾患を悪化させる可能性もあります。

特に皮膚を傷つけるタイプのカッピングでは、器具の衛生管理も重要です。

適切に消毒されていない器具を複数人で使用すると、血液を介した感染症を広げるリスクがあります。

一般の人がアスリートの真似をして自己流で強く吸引したり、長時間カップを付けたりするのは避けた方がよいでしょう。

マラソンランナーの体にある丸いものは全部カッピング?

ここは注意が必要です。

陸上選手やマラソンランナーの体にある「丸いもの」がすべてカッピングとは限りません。

例えば、

丸いシール
テープ
センサー
医療・コンディショニング用の器具

などを装着しているケースもあります。

見分けるポイントの一つは、皮膚そのものが赤紫色や黒っぽい円形に変色しているかどうかです。

カップを外した後に、

大きめの丸いアザのような跡が複数並んでいる

場合は、カッピング跡である可能性があります。

一方、皮膚の上に黒い丸い物体が貼り付いている場合は、カッピングとは別物の可能性があります。

なぜ試合直前にカッピングをする選手がいるの?

アスリートは試合に向けてさまざまな方法でコンディションを調整します。

カッピングを普段から利用している選手の場合、

「筋肉の張りをケアしたい」
「体を整えたい」
「いつものルーティンを行いたい」

といった理由から大会前に施術を受けることも考えられます。

トップアスリートほど自分なりのコンディショニング方法を持っていることも珍しくありません。

ただし、

カッピングをしたから速く走れる

という意味ではありません。

競技力はトレーニングや休養、栄養、体調、レース戦略など多くの要素によって左右されます。

カッピングとテーピングの違いは?

スポーツ選手が利用するものとしてよく知られているのがテーピングです。

両者は目的や方法が大きく異なります。

カッピング テーピング
方法 カップで皮膚を吸引 テープを皮膚に貼る
見た目 丸い赤紫色などの跡 テープが皮膚上に残る
主な利用目的 コンディショニングなど 関節・筋肉のサポートなど
使用するもの カップ テープ
使用後 丸い跡が残ることがある 剥がせばテープはなくなる

テレビで見ると、どちらも選手の体に目立つため混同するかもしれません。

丸いアザのような跡ならカッピング、テープそのものが貼られていればテーピング

という違いがあります。

黒い丸い跡を見ても心配する必要はない?

カッピングによる跡だと確認できているのであれば、一時的な皮膚の跡であるケースがあります。

ただし、

黒い丸い跡=必ずカッピング

ではありません。

原因不明のアザが突然できた、ぶつけていないのに何度も内出血する、出血しやすくなったなどの場合には、カッピング跡と自己判断しないことが大切です。

自分の体に原因不明の皮膚変化が現れた場合は、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。

よくある疑問

Q. 陸上選手の背中にある黒い丸は何?

代表的なのがカッピング(吸い玉)の施術跡です。

カップで皮膚を吸引するため、円形の赤紫色や黒っぽい跡が残ることがあります。

Q. 痛いの?

吸引によって皮膚が引っ張られるため、人によっては痛みや不快感を感じる場合があります。

吸引の強さや施術方法によっても異なります。

Q. 黒いほど疲れている?

跡の色だけを見て「疲労度が高い」「体が悪い」と判断することはできません。

Q. 毒素が出た跡なの?

「黒い跡は毒素が出た証拠」と断定できる十分な科学的根拠はありません。

Q. カッピングをすると速く走れる?

カッピングによって陸上やマラソンの競技パフォーマンスが確実に向上するといえる十分な科学的根拠は確立していません。

Q. 一般の人でも受けられる?

カッピングを提供している施設はあります。

ただし副作用や衛生上のリスクもあるため、持病や皮膚疾患がある場合などは特に、医療従事者へ相談することも検討してください。

まとめ

今回は、陸上選手やマラソンランナーの体に見られる黒い丸い印の正体について解説しました。

肩や背中、脚などにある、

赤紫色や黒っぽい大きな丸い跡

の代表的な正体は、カッピング(吸い玉)によってできた跡です。

カッピングでは専用のカップを皮膚に当て、内部を陰圧にして吸引します。

そのためカップの形に沿って丸い跡が残ることがあります。

アスリートがコンディショニングの一環として利用することがありますが、

「黒いほど毒素がたまっている」
「カッピングをすれば疲労が必ず取れる」
「マラソンのタイムが速くなる」

などと断定できる十分な科学的根拠があるわけではありません。

研究では痛みを軽減する可能性が示唆されているものの、現時点ではエビデンスの質に限界があります。

また、陸上選手の体にある丸いものがすべてカッピングとは限りません。

皮膚自体が丸く赤紫色や黒っぽくなっているならカッピング跡の可能性、何かが皮膚に貼り付けられているなら別の器具の可能性があります。

次にマラソンや陸上中継を見るとき、選手の肩や背中に丸い跡を見つけたら、「コンディショニングでカッピングを受けた跡かもしれない」と見ると、また違った視点で競技を楽しめるでしょう。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療を目的としたものではありません。

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