ヤングケアラーとは?高校生の20人に1人が行う苛酷な家族介護の実態

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ヤングケアラーという言葉を知っていますか?

介護が必要な家族のために世話、感情面のサポートも行っている子どもや若者のことです。
彼らは大人がやるような責任の重い介護を引き受けています。

そのため、友だちができず孤立したり、進学や就職を諦めざる得ないといったケースが頻発。
イギリスなど欧米では、深刻な社会問題として人気されており、様々なサポートが行われています。

しかし、日本ではヤングケアラーという言葉すら十分に知られておらず、支援体制も整っていません。

そこで、ヤングケアラーの実態について調べてみました。

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ヤングケアラーの実態調査

日本ではなかなか実態の見えないヤングケアラーですが、かつて総務省を行っています。

「就業構造基本調査」(2012年)によると、介護をしている15~29歳の若者は約17万7,600人
しかし、これはあくまで推計値で正確な数はわかっていません。

また、この調査には14歳以下の小中学生は含まれていません。
そのため、実際にはヤングケアラーはもっと多いと指摘する専門家もいます。

そんな若年層のヤングケアラーについて、兵庫教育大学が行った調査があります。
・出典:ヤングケアラーについての実態調査

調査は市立中学校のクラス担任へのアンケート調査で、有効回答率28.9%。
回答の得ら れたク ラ スに在籍する生徒の総数は4,420名でした。

その結果、1.2%にあたる中学生がヤングケアラーの可能性があることがわかりました。

ヤングケアラーの役割負担

ヤングケアラーは家庭内でどんな役割を負っているのか?
結果は以下の通りでした。

1位 きょうだいの世話 40人
2位 家事全般 38人
3位 通訳 13人
4位 移動介助 4人
4位 身辺介助 4人

特徴は子どもたちの役割が「お手伝い」の域を大きく超えていること。
大人並みの負担を負わされているケースも少なくないようです。

ヤングケアラーを担っている理由

ヤングケアラーとして家庭内の役割を負う理由については、以下の通り。

1位 母子・父子家庭 16人
2位 その他 11人
3位 留守にしがち 4人
3位 保護者が外国籍 4人
5位 障害児(者)がいる 3人
6位 長期入院者がいる 1人

ひとり親家庭の子どもがヤングケアラーになるケースが多いことがわかります。

ヤングケアラーが介護する家族

ヤングケアラーがサポートするのはどんな人たちなのか?

最も多いのは、病気や障害のある母親や兄弟姉妹のケアをしているケース。
親の病気はうつ病やアルコール依存症が多いようです。

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高校生の20人に1人がヤングケアラー

高校生になると、ヤングケアラーの数はさらに増えます。

大阪歯科大学と関西学院大学が行った2016年の調査があります。

調査対象は大阪府の高校生約5200人。
それによると、何と20人に1人が家族の介護を行っている実情が明らかにされたのです。

ケアの内容で最も多かったのは「家事」
「力仕事」「外出時の介助・付き添い」「感情面のサポート」と続いています。

ケアの頻度については、「毎日」が33.5%、「週に4、5日」が11.8%
保母毎日のように介護をしている生徒が半数近くにも上りました。

彼らの多くは友だちがいないなど孤立傾向にあり、進学や就職にも深刻な悪影響を及ぼしているという報告もあります。

ヤングケアラーへの支援体制は?

ヤングケアラーへの支援体制は非常に不十分です。
地域や学校など周囲に気づかれにくいこともあり、深刻化の一途を辿っています。

実際、学校でも教員などが「問題を持つ生徒」と認識していても、プライバシーの問題やガイドラインがないことなどから支援できないという実態があるのです。

イギリスでのヤングケアラー支援

ヤングケアラーへの支援に力を入れているのはイギリス。
1980年代の終わりから国がヤングケアラーの実態調査に乗り出し、介護が必要な人を支援してきました。

現在イギリスには各地にヤングケアラーを支える支援団体があり、法整備も進んでいます。
2014年には介護関連の法律を統合した「ケア法」も制定されています。

まとめ

日本では児童虐待が社会問題になっていますが、ヤングケアラー問題はまだまだ認知されていません。

家族の介護をする子は、面倒見のいい優しい子などと表面的に捉えられている傾向があり、支援の手は届いていません。

しかし、実態は単なる「お手伝い」で片付けられる問題ではありません。

日本でも一刻も早い支援組織の整備、そして国による法整備を含めたサポート体制が不可欠です。
子どもたちへの介護負担をいかにして減らすか?
これは日本の大人たちに課せられた深刻な問題であると言えそうです。

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