日本には昔ながらの家制度があります。
本家と分家というのはそのひとつです。
都会で生活する人はあまり気にならないかもしれませんが、地方では本家・分家というのを気にする人もいるようです。
そこで、本家・分家の違いといまどきの事情を調べてみました。
本家とは?
本家とは、簡単に言えば一族の中で中心となる家のことをいいます。
本家は総じて一族の中でもっとも財産を保有しており、分家を支配するなど大きな力を持っています。
「本家」は昔からの家や苗字、お墓や仏壇を守り、先祖を供養する家で、長男が後継ぎとなるのが一般的です。
男性が本家にいないときは、婿養子をとって後継ぎにすることもあります。
本家という言葉は商売などでも使われ、創業者の店を本家と呼んだりします。
一方、本家からのれん分けされた店は分家となります。
ちなみに、本家とよく似た言葉に宗家(そうけ)がありますが、これはほとんど同じ意味です。
ただし、本家が家筋などの血縁関係を意味するのに対し、血のつながりのない流派でも使われます。
華道や茶道などの流派が宗家にあたります。
分家とは?
分家は本家に住んでいた者が家を出て、新しく建てた家のことをいいます。
たとえば、長男が後継ぎとなって住むのが「本家」。
次男や三男が新たに建てて住むのが「分家」です。
ただし、必ずしも次男が分家とは限らず、長男がよその家に婿入りするなどした場合は、次男や三男が本家を継ぐ場合もあります。
本家と分家の違い
本家と分家の違いは、
・元となった方が「本家」
・分離したほうが「分家」
となります。
本家と分家はあくまでも相対的な関係です。
分家からさらに分家した人から見ると、その分家は本家になるからです。
ただこれを繰り返していくと、本家と分家が無数に増えることになるため、一番元の家を「総本家」と呼ぶこともあります。
本家と分家のいまどきの事情
古い家制度の名残でもある本家と分家ですが、農村では今でも本家・分家の関係は根強く残っているところもあります。
本家の中には、他の親族たちを見下してくる人もいて、帰省したら必ず本家に挨拶に行くという風習は今でもあります。
地方では盆や正月に親戚一同が本家に集まるのが今でも習わしですが、買い出しや調理などの雑用をやらされるのは分家の人間であることが多いです。
また、盆や正月が近づくと、本家の人から帰省を催促されることも多く、断る理由を考えるのがひと苦労だという人もいます。
なかでも不満を持つ人が多いのが、次男の嫁など女性たちです。
農村では、女性のことを小間使いのように考えている人が今でも少なくなく、帰省を嫌う女性は多いようです。
本家と分家のトラブルで多いのは?
本家と分家の間で起こりやすいのが、葬儀と相続です。
葬儀のトラブル
葬儀は田舎では重要なセレモニーですが、本家がきちんと取り仕切らないと、分家の人の間でトラブルになることもあります。
「本家なんだからしっかりしろ」「分家のくせに口をはさむな」などと、もめることがよくあります。
相続のトラブル
本家と分家のトラブルは相続問題でもよく起こります。
本家としては、親の老後の面倒を見てきたこともあり、優遇されて当然だという思いがあります。
一方、分家は「兄弟なんだから平等にすべき」と主張します。
これまでの苦労してきた本家は財産が横取りされるような気になりますし、分家は分家で本家が財産を独り占めするように感じてしまいます。
本家と分家のまとめ
昔の家制度の名残である本家と分家。
いまどき古くさいと考える人も多いかもしれませんが、地方の農村ではまだまだ本家が力を持っているケースは多いようです。
本家にも分家にもそれぞれ苦労はあります。
困ったときにはお互いに助け合えるように、本家と分家は良い関係でいたいものですね。