ナイチンゲール誓詞 本来の意味と由来をわかりやすく解説します

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ナイチンゲールといえば、看護師の代名詞のような存在。
生まれは1820年5月12日なので、生誕200年となります。

そんなナイチンゲールの看護精神を伝えたのが、
ナイチンゲール誓詞(ないちんげーるせいし)です。

いわば、看護師としての誓いを言葉にしたものです。

そこで、その意味と由来、誕生の経緯を紹介したいと思います。

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ナイチンゲール誓詞全文

ナイチンゲール誓詞は、1893年アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市にあるハーパー病院の校長リストラ・グレッターらが作成したもの。

その内容は以下の通り。

神とここに集う人々の前に、厳かに誓う、

Before God and those assembled here, I solemnly pledge;

看護専門職の倫理規範を遵奉し、

To adhere to the code of ethics of the nursing profession;

忠誠心を持って看護チームの他のメンバーと共に協力し、監督者として指定された医師または看護者の指示に忠実に、そして己の能力に従って最善を尽くし、

To co-operate faithfully with the other members of the nursing team and to carryout [sic] faithfully and to the best of my ability the instructions of the physician or the nurse who may be assigned to supervise my work;

一切の悪行や悪意ある行為をせず、意図しながら害のあるいかなる薬を与えることや不正行為には加担しないと。

I will not do anything evil or malicious and I will not knowingly give any harmful drug or assist in malpractice.

職業上の知りえた秘密についてはこれを秘匿する。

I will not reveal any confidential information that may come to my knowledge in the course of my work.

そして全力を尽くし看護実践の標準と品位を高めることを、自分に誓う。

And I pledge myself to do all in my power to raise the standards and prestige of the practical nursing;

我が人生が看護専門職の仕事とその高邁な理想に捧げられんことを。

May my life be devoted to service and to the high ideals of the nursing profession.

・出典:"Practical Nurse Pledge", a modern version based on the "Nightingale Pledge"

ナイチンゲール誓詞の意外な評価

アメリカでは、何十年も看護師の戴帽式や卒業式などでナイチンゲール誓詞を復唱されてきました。

しかし、ナイチンゲールの母国イギリスでは、あまり好まれていないようで、ナイチンゲール本人も誓詞を快く思っていなかったようです。

自らの著作で、ナイチンゲール誓詞についてこう言っています。

「私たちの場合『誓い』を立ててこの道に入ったりしない」
「わざわざあえて『誓い』を立てる必要があるのか」
「そんな次元の低いものと見なしているのだろうか」

「医師への忠誠」という考え方が嫌われたようで、
看護職の自立を促進する意味で削除されたものも使われているようです。

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ナイチンゲールの経歴

ここでナイチンゲールの経歴を簡単に紹介しておきます。

ナイチンゲールはフィレンツェ生まれ。
裕福な家庭で育ち、高等教育を受けました。

フランス語・ギリシャ語・イタリア語の読み書きができた他、数学、経済学、哲学、天文学なども学びました。

ナイチンゲールが看護の道を志したのは、慈善訪問で貧しい農民の悲惨な生活を目の当たりにしたこと。
看護師の勉強を始めたのは31歳と遅く、ロンドンの病院に就職しましたが、無給でした。
生活費は父親が出していたと言います。

そんなナイチンゲールを有名にしたのは、クリミア戦争。
従軍看護師として働いた彼女は衛生状態の改善に力を入れ、兵士の死亡率を減少させました。

ナイチンゲールはその後も統計学を駆使して、医療の向上に力を注ぎました。

「白衣の天使」という言葉もナイチンゲールが由来でしたが、本人は快く思っていなかったようです。

ちなみに、イギリスでは、ナイチンゲールを統計学の先駆者として高く評価しています。

そんなナイチンゲールですから、奉仕の精神で熱心に看護するというナイチンゲール誓詞には違和感があったのでしょう。

まとめ

看護師というと、白衣の天使というイメージが先行しがちですが、ナイチンゲールの生き様は違いました。

ナイチンゲールは「犠牲なき献身こそ真の奉仕」という有名な言葉を残していますが、自己犠牲に頼る奉仕活動は看護師の仕事であるとは考えていなかったようです。

頭脳明晰なリアリスト。
それがナイチンゲールの本当の姿だったのではないでしょうか。

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