真夏に突然停電すると、特に心配なのがエアコンが使えなくなることによる熱中症です。
「停電してエアコンがつかないときはどうすればいい?」
「扇風機も使えないけど、どうやって体を冷やす?」
「窓は開けたほうがいい?」
「停電が長引いたら家にいても大丈夫?」
このような疑問を持つ人も多いでしょう。
環境省は熱中症対策として、涼しい環境で過ごすことに加え、エアコンが使用できない場合には、衣服をゆるめる、皮膚を濡らしてうちわなどであおぐ、氷やアイスパックなどで体を冷やすといった方法を挙げています。(WBGT情報サイト)
そして重要なのが、家の中にいることにこだわらないことです。
室温が上がり続け、自宅で涼しい環境を確保できないなら、冷房が利用できる施設などへの移動を検討する必要があります。
この記事では、停電でエアコンがつかないときの熱中症対策から、窓の開け方、体の冷やし方、避難するタイミング、停電復旧後もエアコンが動かない場合の確認ポイントまで分かりやすく解説します。

停電するとエアコンは使えない
家庭用エアコンは電気で動いているため、停電すると基本的に使用できません。
エアコンだけでなく、
- 扇風機
- サーキュレーター
- 冷蔵庫
- 製氷機
- 給湯設備の一部
なども停止する可能性があります。
真夏の停電で特に注意したいのは、時間がたつにつれて室温が上昇することです。
エアコンを使用していた部屋なら停電直後はまだ涼しさが残っていますが、外気温や日差し、住宅の断熱性能などによって徐々に暑くなります。
「家の中だから熱中症にはならない」と考えないようにしましょう。
熱中症は家の中でも起こる
熱中症は屋外だけで起こるものではありません。
環境省によると、熱中症には「気温が高い」「湿度が高い」「風が弱い」といった環境要因が関係しています。体温調節のバランスが崩れると、身体に熱がたまり熱中症につながります。(WBGT情報サイト)
停電するとエアコンや扇風機が停止するため、室内でも高温・多湿になりやすくなります。
特に夜間は、
「日が沈んだから大丈夫」
と思いがちですが、建物に蓄積された熱によって室温がなかなか下がらない場合があります。
夜の停電でも油断は禁物です。
停電でエアコンがつかないとき最初にやること
真夏に停電した場合は、まず室内をできるだけ暑くしないことと身体を冷やすことを考えます。
① 日差しを遮る
日中なら、カーテンやブラインドなどで直射日光を遮ります。
特に西日が入る部屋は室温が上がりやすいため注意しましょう。
環境省も暑さ対策として、西側の日よけやブラインドなど、日射熱を遮る対策を推奨しています。(環境省)
② 風が通るなら窓を開ける
外気のほうが室内より涼しく、風がある場合は、窓を開けて風を通します。
できれば1か所だけではなく、対角線上にある窓やドアなど複数箇所を開けると空気が流れやすくなります。
ただし外のほうが極端に暑い場合などは、必ずしも窓を全開にすれば涼しくなるとは限りません。
日射を遮ることと組み合わせて調整しましょう。
③ 体を冷やす
エアコンが使えないときは、身体そのものを冷やします。
環境省では、停電などでエアコンや扇風機が使用できない場合、
- 濡れたタオルを肌に当ててうちわであおぐ
- 冷却グッズを使用する
- 電池式扇風機を利用する
- 水シャワーを利用する
といった方法を示しています。(環境省)
「部屋全体を冷やせないなら、身体を直接冷やす」と考えると分かりやすいでしょう。
保冷剤や氷はどこに当てる?
冷凍庫に保冷剤や氷が残っているなら活用しましょう。
熱中症が疑われる人への応急処置では、環境省は氷のうなどを使い、
首・脇の下・足の付け根
を集中的に冷やす方法を案内しています。(環境省)
保冷剤を使用する場合は、直接肌へ長時間当て続けると冷やしすぎる可能性があるため、タオルなどで包んで使うとよいでしょう。
また、濡らしたタオルを肌に当て、うちわや携帯扇風機などで風を当てる方法もあります。
水分が蒸発するときに身体の熱を奪うため、体温を下げる助けになります。
冷蔵庫・冷凍庫を何度も開けない
「暑いから氷を使いたい」
と冷凍庫を何度も開けるのは注意が必要です。
停電すると冷蔵庫・冷凍庫も停止します。
扉を何度も開けると冷気が逃げ、食品や氷、保冷剤が早く温まります。
必要なものを取り出す場合は、
何を取るか決める
→ 一度に取り出す
→ すぐ扉を閉める
ようにしましょう。
停電が長引く場合、冷凍庫に残っている保冷剤は貴重な暑さ対策になります。
水分は「喉が渇く前」に飲む
停電中の熱中症対策で欠かせないのが水分補給です。
環境省は、エアコンなどが使えない場合の対策として、喉が渇いていなくても水分をこまめに少しずつ補給し、汗を多くかく場合は塩分も補給するよう案内しています。(WBGT情報サイト)
「喉が渇いたから一気に1リットル飲む」
よりも、
少量ずつこまめに飲む
ことを意識しましょう。
特に高齢者は喉の渇きを感じにくい場合があるため、周囲の人が声をかけることも重要です。
スポーツドリンクや経口補水液は必要?
大量に汗をかいている場合には、水分だけでなく塩分も失われています。
環境省の応急処置資料でも、大量に汗をかいている場合には、塩分を含むスポーツドリンクや経口補水液などが選択肢として示されています。(環境省)
ただし経口補水液とスポーツドリンクは同じものではありません。
通常の水分補給なら水やお茶なども選択肢ですが、汗を大量にかいている場合や脱水が疑われる場合には状況に応じて使い分けましょう。
なお、持病などで水分・塩分の摂取量について医師から指示を受けている人は、その指示に従ってください。
電池式・充電式扇風機が役立つ
停電するとコンセント式の扇風機は使用できません。
そこで役立つのが、
充電式扇風機・電池式扇風機
です。
USB充電タイプならモバイルバッテリーから給電できる製品もあります。
ただし携帯扇風機だけで猛暑を乗り切れるとは限りません。
高温の環境で長時間過ごすことを避け、濡れたタオルなどによる身体の冷却と組み合わせましょう。
環境省もエアコン等が使えない場合の対策として、電池式扇風機や濡れタオルなどを挙げています。(WBGT情報サイト)
水シャワーも停電対策になる
停電していても水道が利用できる住宅なら、水シャワーで身体を冷やす方法があります。
環境省もエアコンや扇風機が使用できない場合の冷却方法として、水シャワーを挙げています。(WBGT情報サイト)
ただしマンションなどでは、停電によって給水ポンプが停止し、断水する場合があります。
そのため災害が予想されているときは、飲料水だけでなく生活用水についても準備しておくと安心です。
お風呂に水をためておくのも一つの備え
台風などで停電・断水の可能性がある場合、生活用水を確保しておく方法があります。
浴槽に水をためておけば、停電・断水時の生活用水として利用できる場合があります。
ただし、小さな子どもがいる家庭では浴槽への転落事故に注意が必要です。
また浴槽の水は飲料水とは分けて考え、飲み水はペットボトルなどで別に確保しておきましょう。
真夏の停電では「家から出る」判断も重要
停電時の熱中症対策として非常に重要なのが、
自宅に居続ける必要はない
ということです。
室温が上昇し、身体を冷やす方法も十分に確保できない場合は、電気が使えて冷房の効いた安全な場所への移動を検討します。
たとえば、
- 親族・知人宅
- 公共施設
- 冷房が使える商業施設
- 自治体が指定したクーリングシェルター
などです。
環境省によると、クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)は、市町村長が冷房設備など一定の要件を満たす施設を指定する仕組みで、熱中症特別警戒アラートの発表期間中に一般開放されます。場所や開放時間は各自治体が公表します。(WBGT情報サイト)
車のエアコンへ避難するのは?
自宅が停電していても、自動車のエアコンが使用できる場合があります。
一時的に身体を冷やす手段になることはありますが、注意も必要です。
特に、
密閉された場所でエンジンをかけ続けない
ことが重要です。
車庫など換気の悪い場所では排気ガスによる一酸化炭素中毒の危険があります。
また、車内に子どもや高齢者、ペットだけを残すことは絶対に避けましょう。
災害時には道路状況や燃料残量にも注意が必要です。
高齢者は特に注意
環境省は、高齢者や子ども、持病のある人などを熱中症になりやすい人として挙げ、周囲からの見守りや声かけを呼びかけています。(WBGT情報サイト)
高齢者の一人暮らしの場合、
「暑いけれど停電が復旧するまで我慢しよう」
と自宅にとどまってしまうことがあります。
真夏に長時間停電が発生した場合は、
家族や近所の人が電話などで状況を確認する
ことも重要です。
本人が「大丈夫」と言っていても、室温や水分摂取状況などを確認するとよいでしょう。
赤ちゃん・小さな子どもにも注意
子どもも熱中症への注意が必要です。
自分で、
「暑い」
「水が飲みたい」
「気分が悪い」
とうまく伝えられない年齢の場合は、周囲の大人が様子を見る必要があります。
顔が赤い、元気がない、大量に汗をかいているなど普段と違う様子がないか確認しましょう。
真夏の停電では、早めに冷房が使える場所へ移動することも検討してください。
ペットがいる家庭も対策が必要
犬や猫などのペットも高温環境の影響を受けます。
特に留守番中に停電すると、エアコンが停止したまま室温が上昇する可能性があります。
真夏にペットを残して外出する場合、
「エアコンをつけているから大丈夫」
だけでは停電への備えとして十分とは言えません。
停電情報を確認できる仕組みや、家族・知人が確認できる体制なども検討しておくと安心です。
熱中症の初期症状を知っておこう
停電中に次のような症状が現れたら熱中症を疑います。
環境省は熱中症を疑う症状として、
- めまい
- 失神
- 筋肉痛
- 筋肉の硬直
- 大量の発汗
- 頭痛
- 吐き気・嘔吐
- 倦怠感
- 意識障害
- けいれん
- 高体温
などを挙げています。(環境省)
「ちょっと暑さで疲れただけ」
と放置しないことが大切です。
「熱中症かも」と思ったらどうする?
熱中症が疑われる場合は、まず涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて身体を冷やします。
本人が自力で水分を摂取できるなら、水分・塩分を補給します。(環境省)
一方、呼びかけに応えない・反応がおかしい場合は救急要請が必要です。
その場合は無理に水を飲ませず、救急隊が到着するまで身体を冷やします。環境省も、呼びかけへの反応が悪い場合は無理に水を飲ませないよう案内しています。(環境省)
また、自力で水分を取れない場合や、処置をしても症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診してください。
停電が何時間続いたら避難すべき?
「停電から○時間で必ず避難」という一律の基準はありません。
同じ1時間でも、
- 外気温
- 湿度
- 室温
- 日当たり
- 住宅の断熱性
- 風の有無
- 本人の年齢や体調
によって危険度が異なるためです。
重要なのは停電時間そのものより、
自宅で涼しい環境を維持できているか
です。
室温が上がり続け、身体を冷やす手段も少なくなっているなら、「あと1時間だけ」と我慢するより、早めに冷房が利用できる安全な場所へ移動しましょう。
熱中症警戒アラートが出ている日は特に注意
環境省は、熱中症警戒アラートが発表された場合、普段以上の熱中症予防行動を取るよう呼びかけています。
屋内ではエアコンなどを適切に使用して涼しい環境で過ごし、水分・塩分補給を行うことが推奨されています。(WBGT情報サイト)
つまり、
熱中症警戒アラート
+
停電
+
エアコン使用不能
という状況は特に注意が必要です。
エアコンが復旧するまで自宅で我慢するのではなく、冷房が使える場所への移動を早めに検討しましょう。
停電に備えて準備しておきたいもの
真夏の停電対策として、普段から次のようなものを準備しておくと役立ちます。
- 飲料水
- 経口補水液
- 保冷剤
- 氷のう
- 冷却タオル
- うちわ
- 電池式扇風機
- 充電式扇風機
- モバイルバッテリー
- 懐中電灯
- 乾電池
特に保冷剤は普段から冷凍庫に入れておけば、停電時の身体冷却にも利用できます。
またスマートフォンは停電情報や自治体からの情報を確認する重要な手段です。
モバイルバッテリーも充電しておきましょう。
停電復旧後にエアコンがつかないのはなぜ?
停電が復旧したのに、
「電気はついたのにエアコンだけ動かない」
という場合があります。
考えられる原因には、
- ブレーカーの状態
- エアコンの保護機能
- リモコンの電池
- 停電による設定リセット
- 室外機・エアコン本体の不具合
などがあります。
まず照明などほかの電気製品が使えるか確認しましょう。
そのうえでブレーカーやエアコンの取扱説明書を確認します。
メーカーによって復旧方法が異なるため、自己判断でエアコン本体を分解するのは避けてください。
復旧直後にエアコンがすぐ動かなくても故障とは限らない
エアコンには機器を保護するため、運転開始まで少し時間を置く機種があります。
停電から復旧して、
「リモコンを押したのにすぐ冷風が出ない!」
という場合でも、必ずしも故障とは限りません。
数分待っても運転しない場合は、取扱説明書の「停電時」「運転しないとき」などの項目を確認しましょう。
エラーランプが点滅している場合は、メーカーのサポート情報を確認します。
台風前にエアコンを冷やしておけば停電後も大丈夫?
停電前に部屋を適切に冷やしておけば、停電直後の急激な暑さを多少抑える助けにはなります。
しかし、エアコンが停止すれば室温は徐々に外気の影響を受けます。
特に日当たりのよい部屋や最上階などでは室温が上昇する場合があります。
「停電前に18℃まで冷やしておけば一晩大丈夫」
というような考え方は避けましょう。
普段から無理のない温度で冷房を使用し、停電時には身体を冷やす手段と避難先を準備しておくほうが重要です。
停電時のエアコン・熱中症についてよくある質問
Q. 停電したらエアコンは使えない?
基本的には使用できません。家庭用エアコンは電力で動作するため、停電すると停止します。
Q. 停電したら窓は開けたほうがいい?
外のほうが涼しく、風がある場合は換気によって室内の熱を逃がせることがあります。一方、強い日差しが入る場合はカーテンなどで遮熱することも重要です。
Q. 扇風機も使えない場合は?
うちわ、濡れタオル、保冷剤、水シャワー、電池式・充電式扇風機などを利用して身体を冷やします。(WBGT情報サイト)
Q. 停電中は家にいたほうが安全?
必ずしもそうではありません。室内が高温になり涼しい環境を確保できない場合は、冷房が利用できる安全な施設などへの移動を検討しましょう。
Q. クーリングシェルターとは?
自治体が指定する、危険な暑さから避難するための冷房設備などを備えた施設です。熱中症特別警戒アラート発表期間中に一般開放されます。(WBGT情報サイト)
Q. 停電が復旧してもエアコンがつかない場合は?
ブレーカーやリモコンを確認し、機種の取扱説明書に従います。一定時間待っても動かない、異常表示が出るなどの場合はメーカーや修理窓口へ相談しましょう。
まとめ|真夏の停電は「エアコン復旧まで我慢」しない
真夏の停電でエアコンが使えなくなった場合、最も重要なのは室内にとどまることより、自分の身体を涼しい状態に保つことです。
エアコンがつかない場合は、日差しを遮り、風通しを確保しながら、濡れタオルや保冷剤、うちわ、電池式扇風機、水シャワーなどで身体を冷やしましょう。喉が渇いていなくても、こまめな水分補給が重要です。(環境省)
特に注意したいのは、高齢者、子どもなど熱中症になりやすい人がいる家庭です。環境省もこうした人への見守り・声かけを呼びかけています。(WBGT情報サイト)
そして室温が上昇し、自宅で安全な涼しさを確保できなくなったら、停電復旧をただ待つのではなく、冷房が使える親族宅や公共施設、自治体のクーリングシェルターなどへ早めに移動することを検討してください。
「停電したらエアコンがつかない」こと自体より、「暑い部屋で復旧まで我慢し続ける」ことが危険です。
台風など停電の可能性が事前に分かっているときは、飲料水、保冷剤、モバイルバッテリー、電池式・充電式扇風機などを準備するとともに、「停電が長引いたらどこへ移動するか」まで決めておくと安心です。






