お刺身の上にチョンっと添えられている黄色いたんぽぽのような花。
たんぽぽではなく菊です。
彩りを増して華やかになり、お刺身全体を目で見て楽しませてくれます。
菊の花と言えば、お供え用、家紋、観賞用などが思い浮かびます。
私たちの生活の中でとても身近に感じる花ですが、なぜお刺身に添えられるのか?
そんな菊が、「なぜ」「いつから」お刺身に添えられるようになったのか?
詳しくご紹介したいと思います。
菊の花を添えるのは殺菌のため
実は、菊には殺菌効果(解毒効果)があるんです。
お刺身に添えられている菊は「小菊」と言う食用菊の一種で、生臭さを消したり食中毒を防ぐ役割としてお刺身に添えられるようになったのです。
菊の他に、大根や人参、大葉、海藻などもよくお刺身の横に添えられていますよね。
これらを総称して「つま」と呼びます。
「大根のつま」とよく耳にしますが、実は総称なんです。
お刺身を引き立てる目的で添えられているように思われがちですが、実は殺菌作用や刺身から出る水分を吸収し、箸休めとしても効果的な優れものなんですよ。
では、いつから菊の花が添えられるようになったのでしょうか?
菊の花の由来
食用菊は奈良時代に中国から日本に伝来しました。
食用菊は、古代より、中国では延命長寿の花として、お茶や酒、漢方薬に菊の花を入れて飲まれていて、日本でも同じようにお酒や漢方として親しまれました。
江戸時代に醤油が普及し、庶民の間でも生魚を食するようになりましたが、冷蔵や冷凍技術のまだ無い時代のこと。至る所で食中毒が発生し、そこで注目されたのが食用菊です。
食中毒が発生しやすい夏から秋頃に旬を迎える菊、食中毒予防になるのではないかとお刺身に添えられるようになったようです。
菊の花の食べ方と栄養
お刺身に添えられているのは食用菊、食べることができるんです。
観賞用に比べて、特に花びらは苦みが少なく、ほのかに甘みを感じることができ、シャキシャキとした歯ごたえがあります。
お刺身と一緒に菊の花を食べる時は、花びらをちぎり、お刺身や醤油に散らして一緒に食べると香りも楽しむことができます。
菊の花を添えてあるだけのお刺身とはまた違った雰囲気となり、「映え」ること間違いなしです!
近年の研究で、菊には殺菌効果(解毒作用)の他に、発ガン予防効果や悪玉コレステロールの抑制、ビタミン類が豊富であることも発表されています。
ビタミン類が豊富なので、疲れ目対策、老化防止、免疫力低下の抑制などの効果も期待できそうですね。
まとめ
ただの飾りだと思い込み、菊や大根などのつまを残していた方も、体に良いことづくしとわかれば食べたくなるのではないでしょうか。
古来中国から伝来し、奈良時代より経験を元に受け継がれた菊の役割。
食べないなんて、もったいない!
お刺身食べるときは、ぜひ菊も一緒に食べてみてください。