刑事ドラマなどで、逃走中の犯人が呟くセリフに「ほとぼりが冷めるまで待つ」というのがあります。
「世間の関心が薄れるのを待つ」という意味ですが、そもそも「ほとぼり」って何?
そんな疑問を抱く人も少なくないのではないでしょうか?
そこで、「ほとぼり」ついて調べてみました。
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ほとぼりの意味
ほとぼりを広辞苑で調べてみると、以下のように書かれています。
①熱気。ほとおり。また、余熱。神代紀下「―を避(さ)りて居(ま)しますときに」
②感情・興奮などのなごり。また、事件などの後の、世間の関心・うわさ。「―がさめる」
ほとほりは「熱気」という意味。
したがって「ほとぼりが冷める」は熱が冷めるということです。
では、熱気をなぜ「ほとぼり」と言うのか?
ほとぼりは漢字で書くと余熱
ほとぼりは漢字では「余熱」と書きます。
「熱り」とも書くようですが、どちらもワープロの漢字変換では候補には出てきません。
これは正式なものではないためなのか、当て字なのかはわかりませんでしたが、意味を考えると、「余熱」というのは正しいと思われます。
そこで、次に「ほとぼり」の語源について調べてみました。
ほとぼりの語源
ほとぼりの語源はかなり古いようです。
広辞苑には「神代紀」に「ほとぼり」という表現があると書かれています。
そこで、「神代紀」について調べてみると、編纂されたのは1300年も前の奈良時代。
日本書紀と並ぶ代表的な歴史書です。
大昔から使われていた言葉だったようです。
ほとぼりの由来は「ほ+とおり」
次に、「ほとぼり」の由来について調べてみました。
「ほとぼり」は、実は2つの言葉を合わせたものです。
「ほ」+「とぼり」
「ほ」は漢字で書くと「火」です。
「顔が火照る」という言い方をするときに「火」という漢字を使います。
故・野坂昭如さんの名作短編小説に「火垂るの墓」という作品がありますが、これも「火」を「ほ」と読みますね。
では、「とぼり」とは何か?
調べてみると、江戸時代までは「とぼり」と濁らず、「とほり」と呼ばれていたようです。
「とほり」は「通り」のこと。
「ほとほり」は火の通りという意味になります。
したがって、「ほとおりが冷める」は熱が冷めるの意味になる訳です。
「ほとぼりが冷める」期間はどれくらい?
ネットで「ほとぼり」を調べていると、「ほとぼりが冷める期間」という検索ワードが出てきます。
これについては、「決まった期間」はなく、人の関心が薄れる期間だと思っておいていいでしょう。
「人の噂も七十五日」という言葉がありますが、これくらいの期間と言えるかもしれません。
余談ですが、なぜ「七十五日」なのか?については、いくつかの由来がありますが、季節と関係しているという説が有力です。
日本は1年を通して春夏秋冬という四つの季節があります。
しかし、昔は、梅雨の時期を一つの季節ととらえ、合計五つの季節があるとされていたようです。
1年を5で割ると、73日。ここから、キリのよい75日になったと考えられています。
つまり、「季節が変われば人は簡単に忘れる」その季節が75日というわけです。
「ほとぼりが冷める」の類義語は?
最後に「ほとぼりが冷める」類義語や関連語も調べてみました。
・寝たふりをする
・嵐が過ぎ去るのを待つ
・息を殺して待つ
「ほとぼりが冷める」に一番近い表現は「嵐が過ぎ去るのを待つ」ということになりそうです。
おわりに
ということで、「ほとぼり」の意味と語源について調べてみましたが、いかがだったでしょうか?
「ほとぼり」を漢字で書くと、「余熱」というのはほとんどの人が知らなかったのでは?
「ほ+とおり」→「火の通り」というのもわかってしまえば納得です。
あなたも話のネタに使ってみてはいかがでしょうか?