最近、SNSを見ていると、「ステルス値上げひどい」という投稿をよく見かけます。
「久々に肉まん食べたけど、あきらかに昔より小さくなってる」
「ポテトチップスの袋がひとまわり小さくなっている」
ステルス値上げとは、価格を据え置いたまま量を減らすこと。
実質的な値上げです。
ステルスとは、ステルス戦闘機のこと。
敵のレーダーに察知されにくいことから、ステマ(ステルスマーケティング)という言い方で消費者を欺く戦略として使われます。
実はコレ、シュリンクフレーションという経済現象なんですね。
そこで、詳しく調べてみました。
シュリンクフレーションとは?
シュリンクフレーションのシュリンクは「収縮」という意味。
価格を変えずに量を減らすことです。
目的は、メーカーが値上げで消費者が離れるのを防ぐため。
パッケージを小さくして、これまでより少ない量で同じ価格を維持するわけです。
価格が直接目に見える値上げよりも、値段そのままで内容量が減る方がマイナスの印象は少ないといった考え方です。
何も告知しないで変更する場合もあれば、パッケージや広告などを使って告知する場合もあります。
ステルス値上げの効果は?
ステルス値上げはメーカーにとってどれくらい効果があるのか?
日経新聞の調査では、ステルス値上げ商品の7割の販売額が前年を下回ったといいます。
今はSNSなどで消費者にすぐに気づかれることから、効果は長続きしなくなっているようです。
実質的な値上げを正直に公表した「ガリガリ君」
ステルス値上げは消費者に評判が悪いため、正直に公表するメーカーも増えています。
「ガリガリ君」でおなじみの赤城乳業は、アイスの棒と果汁の原材料高騰による値上げをCMで消費者に告知。これが逆に高感度アップにつながっています。
「ブラックサンダー」の販売元である有楽製菓も原料のカカオ豆の高騰で、ブラックサンダーのサイズを2mm短くすることを公表しました。
今はこっそりと実質値上げするよりもむしろ潔く発表した方が「正直で良い」と評価される時代なのです。
おわりに
長らくデフレが続いてきた日本。
モノの値段は上がるどころか、下がることも少なくありません。
今はコロナの影響もあり、物流が停滞し、原料の供給不足に陥っています。
そういう意味でもメーカーは値上げせざるを得ない状況なのでしょう。
ひそかに「隠れインフレ」が進行しているのは間違いありません。
逆に、こんな時代だからこそ企業の正直度が問われるのかもしれませんね。