刑事事件の用語にはわかりにくいものが多いですね。
たとえば、「起訴」と「訴追」
一見、同じことのように思いますが、厳密に言うと違いがあります。
そこで、「起訴」と「訴追」の違いをわかりやすく解説したいと思います。
「起訴」とは?
起訴とは、公訴提起のことを言います。
公訴は検察官が、犯罪行為を行った疑いのある被疑者を刑事裁判にかける手続きのことです。
「起訴」は検察官が起訴状を裁判所に提出する方法で行います。
つまり、検察官が裁判所に被告人を裁いてくださいと請求することです。
「起訴」に至るまで
被告人が起訴されるまでの流れは以下のようになっています。
逮捕→送検(検察官送致)→拘置(勾留)→起訴
これが一連の流れです。
ちなみに、送検とは、容疑者を検察庁へ送り届けることを言います。
検察官が起訴を決めたときは、裁判所に「起訴状」を提出します。
起訴状には、被告人の氏名、公訴事実、罪名が書かれています。
起訴は検察官が裁判所に有罪判決を出すように求めることです。
犯罪を犯した者は、逮捕されたときは容疑者ですが、起訴されると被告になり、裁判にかけられます。
したがって、起訴状には「この被告人は、こういうことを行ったので、これこれの犯罪に当たります。だから有罪判決を出してください」という内容が書かれているのです。
訴追とは?
訴追とは、検察官が公訴を提起(起訴)し,これを維持することを言います。
したがって、起訴と同じ意味です。
ただし、訴追には、裁判官・人事官を弾劾する申立てをして罷免(職をやめさせること)を求める行為も含まれます。
また、検事総長などが司法警察職員に対する懲戒処分を求めることも「訴追」と言います。
起訴と訴追の違い
起訴と訴追は、検察官が犯罪行為を行った疑いのある被疑者を刑事裁判にかける手続きという面では同じです。
「訴追」の一部に「起訴」が含まれるというのが、起訴と訴追の違いと言えるでしょう。
おわりに
ということで、起訴と訴追の違いについて解説しました。
通常の刑事裁判でいえば、起訴と訴追は同じ意味です。
つまり、起訴されるのは犯罪を犯した者ですが、訴追は、裁判官・人事官に罷免を求める手続きなども含まれるというわけです。