安倍晋三元総理大臣の「国葬」を9月27日に東京の日本武道館で行う方向で政府が最終調整に入りました。
そもそも「国葬」とはどんな葬儀なのか?
そして、これまでにどんな人が国葬されてきたのか?
どれくらいの費用がかかるのか?
知らないことが多いのではないでしょうか?
そこで、国葬について調べてみました。
国葬とは?
国葬(こくそう)とは、国家に貢献した人を国が喪主になって執り行う葬儀のことです。
国家儀式なので、国費で賄われます。
国葬が初めて行われたのは明治11年、大久保利通。
その後、岩倉具視や島津久光、三条実美なども国葬されました。
1926年には国葬令が定められ、天皇の勅令で行われることが法律化されました。
しかし、戦後の日本国憲法で国の宗教活動を禁止されたため、国葬法も廃止されました。
戦後に国葬されたのは吉田茂元総理だけで、安倍元総理が国葬されれば2人目となります。
国葬された日本人
これまでどんな人が国葬されたのか?
年月日 | 被葬者 | 地位、備考 |
1878年(明治11年)5月17日 | 大久保利通 | 内務卿(事実上の国葬、準国葬) |
1883年(明治16年)7月25日 | 岩倉具視 | 右大臣 |
1887年(明治20年)12月18日 | 島津久光 | 公爵 左大臣 |
1891年(明治24年)2月25日 | 三条実美 | 公爵 太政大臣 |
1895年(明治28年)1月29日 | 熾仁親王 | 陸軍大将 参謀総長 |
1895年(明治28年)12月18日 | 能久親王 | 陸軍大将 近衛師団長 |
1896年(明治29年)12月30日 | 毛利元徳 | 公爵 参議 旧山口藩主 |
1897年(明治30年)2月7日 | 英照皇太后 | 皇太后 大喪儀(事実上の国葬) |
1898年(明治31年)1月9日 | 島津忠義 | 公爵 参議 旧鹿児島藩主 |
1903年(明治36年)2月26日 | 彰仁親王 | 元帥 陸軍大将 参謀総長 |
1909年(明治42年)11月4日[9] | 伊藤博文 | 公爵 内閣総理大臣 元老 |
1912年(大正元年)9月13日 | 明治天皇 | 天皇 大喪 |
1913年(大正2年)7月17日 | 威仁親王 | 元帥 海軍大将 軍事参議官 |
1914年(大正3年)5月24日 | 昭憲皇太后 | 皇太后 大喪 |
1916年(大正5年)12月17日 | 大山巌 | 公爵 元帥 陸軍大将 内大臣 |
1919年(大正8年)3月3日 | 李熈 | 李太王(元韓国皇帝 高宗) |
1922年(大正11年)2月9日 | 山縣有朋 | 公爵 元帥 陸軍大将 内閣総理大臣 元老 |
1923年(大正12年)2月14日 | 貞愛親王 | 元帥 陸軍大将 内大臣 |
1924年(大正13年)7月12日 | 松方正義 | 公爵 内閣総理大臣 元老 |
1926年(大正15年)6月10日 | 李坧 | 李王(元韓国皇帝純宗) |
1927年(昭和2年)2月7日 | 大正天皇 | 天皇 大喪 |
1934年(昭和9年)6月5日 | 東郷平八郎 | 侯爵 元帥 海軍大将 連合艦隊司令長官 |
1940年(昭和15年)12月5日 | 西園寺公望 | 公爵 内閣総理大臣 元老 |
1943年(昭和18年)6月5日 | 山本五十六 | 元帥 海軍大将 連合艦隊司令長官 |
1945年(昭和20年)6月18日 | 載仁親王 | 元帥 陸軍大将 参謀総長 |
1951年(昭和26年)6月22日 | 貞明皇后 | 皇太后 大喪儀(事実上の国葬、準国葬) |
1967年(昭和42年)10月31日[7] | 吉田茂 | 内閣総理大臣 |
1989年(平成元年)2月24日 | 昭和天皇 | 天皇 大喪の礼 |
2022年(令和4年)9月27日(予定) | 安倍晋三 | 内閣総理大臣 |
・引用元 ウィキペディア
戦前、総理大臣経験者で国葬されたのは4人。
・伊藤博文
・山縣有朋
・松方正義
・西園寺公望
戦後に国葬されたのは3人。
・貞明皇后
・吉田茂
・昭和天皇
一方、国葬に準ずる葬儀もあります。
国が関わった葬儀
政府が関わった葬儀には
・国民葬
・合同葬
・衆議院葬
・参議院葬
があります。
年月日 | 被葬者 | 葬儀の呼称 | 地位や役職 |
1922年(大正11年)1月17日 | 大隈重信 | 国民葬 | 侯爵 内閣総理大臣 |
1951年(昭和26年)3月16日 | 幣原喜重郎 | 衆議院葬 | 内閣総理大臣、衆議院議長 |
1954年(昭和29年)10月7日 | 尾崎行雄 | 衆議院葬 | 名誉議員 |
1954年(昭和29年)11月17日 | 松平恆雄 | 参議院葬 | 参議院議長 |
1975年(昭和50年)6月16日 | 佐藤栄作 | 国民葬(内閣、自民党、国民有志による) | 内閣総理大臣 |
1980年(昭和55年)7月9日 | 大平正芳 | 内閣・自由民主党合同葬 | 内閣総理大臣 |
1987年(昭和62年)9月17日 | 岸信介 | 内閣・自由民主党合同葬 | 内閣総理大臣 |
1988年(昭和63年)12月5日 | 三木武夫 | 内閣・衆議院合同葬 | 内閣総理大臣 |
1990年(平成2年)4月27日 | 小野明 | 参議院葬 | 参議院副議長 |
1995年(平成7年)9月6日 | 福田赳夫 | 内閣・自由民主党合同葬 | 内閣総理大臣 |
2000年(平成12年)6月8日 | 小渕恵三 | 内閣・自由民主党合同葬 | 内閣総理大臣 |
2004年(平成16年)8月26日 | 鈴木善幸 | 内閣・自由民主党合同葬 | 内閣総理大臣 |
2006年(平成18年)8月8日 | 橋本龍太郎 | 内閣・自由民主党合同葬 | 内閣総理大臣 |
2007年(平成19年)8月28日 | 宮澤喜一 | 内閣・自由民主党合同葬 | 内閣総理大臣 |
2011年(平成23年)11月25日 | 西岡武夫 | 参議院葬 | 参議院議長 |
2020年(令和2年)10月17日[注 1] | 中曽根康弘 | 内閣・自由民主党合同葬 | 内閣総理大臣 |
・引用元 ウィキペディア
歴代の多くの総理経験者が国民葬、内閣・自由民主党合同葬、内閣・衆議院合同葬されています。
<国が葬儀に関わった戦後の総理経験者>
・佐藤栄作
・大平正芳
・岸信介
・三木武夫
・福田赳夫
・小渕恵三
・鈴木善幸
・橋本龍太郎
・宮澤喜一
・中曽根康弘
国が関わった総理経験者の葬儀費用
・引用元:東京新聞
直近の中曽根元総理の葬儀は内閣・自由民主党合同葬で、政府と衆院が支出した予算は9,643万円となっています。
これ以外も自民党などから費用が出ているので、これらを合わせると、2億円近い費用がかかったといわれています。
国葬の日は休日になる?
昭和天皇の大喪の礼が行われた1989年2月24日(平成元年)は休日となりました。
では、安倍元総理の国葬が行われる予定の9月27日はどうなるのか?
結論を言うと、休みになる可能性は低いとみられます。
今後、国葬で休日になるのは、天皇の葬儀のときのみとなりそうです。
国葬のまとめ
国葬には明確な基準がないため、安倍元総理の国葬を巡っては一部の野党から異論も出ています。
松野官房長官は国葬とした理由について「国の内外から幅広い哀悼・追悼の意が寄せられている」としていますが、国民の理解が得られる葬儀にして欲しいですね。