外来種のアメリカザリガニの販売が禁止されることが決まりました。
2022年5月11日の国会で改正外来生物法が可決・成立したからです。
しかし、その一方で飼育は認められます。
イベントやお祭りで子どもたちに人気のアメリカザリガニ。
いつから販売禁止になるのか?
そして、なぜ売ってはいけないのに飼育はOKなのか?
法律成立の経緯と今後について調べてみました。
Contents
外来生物法と改正外来生物法とは?
アメリカザリガニ販売禁止のもととなる外来生物法とはどんな法律なのでしょうか?
外来生物(被害防止)法は2005年(平成17)6月1日に施行。
日本の在来生物の生存を脅かしたり、生態系を乱したり、または乱すおそれのある外来生物の海外から日本へ持ち込みを規制する法律です。
あわせて外来生物の予防・駆除を行うことも定められています。
日本に生息・生育する外来種の数は、2,000種を超えると言われています。
このうち特に生態系に悪影響を与える156種類が「特定外来生物」に指定されています。
今回の法改正では外来生物対策の一層の強化・推進を図られます。
具体的にはヒアリ対策の強化、アメリカザリガニやミドリガメ(アカミミガメ)の対策のための規制です。
アメリカザリガニの被害
日本の在来生物の生存を脅かしたり、生態系を乱すとされるアメリカザリガニ。
具体的にはどんな被害があるのでしょうか?
アメリカザリガニはゲンゴロウやメダカ、ドジョウなど水生昆虫、魚類をエサとします。
これによって個体数が減少することが知られています。
さらに、深刻なのは水草も影響を受けること。
水生昆虫の捕獲のときに障害となる水草を刈り取るからです。
その結果、池の水草がほとんど無くなることもあり、水生植物を産卵場所や隠れ家にしていた水生昆虫や魚も減少・絶滅の危機に瀕することになるのです。
このため、放流や販売を禁止することで、アメリカザリガニによる被害を防止しようというわけです。
しかし、アメリカザリガニをペットとして飼育することは認められます。
なぜアメリカザリガニの飼育は認められるのか?
アメリカザリガニは販売は禁止されるのに、飼育は認められるのはなぜなのか?
これまでアメリカザリガニが特定外来生物には指定されなかった理由は、アメリカザリガニがあまりに身近な生き物になりすぎているためです。
環境省によると、国内ではアメリカザリガニ約540万匹飼育されているといいます。
アメリカザリガニはすでに多くの人が飼育していて、飼育禁止にすると、すでにに飼われているアメリカザリガニが大量に野外に放たれ、逆に生態系等への被害が拡大するおそれがあるのです。
改正外来生物法はいつから施行される?
改正外来生物法はいつから施行されるのでしょうか?
政府は1年以内の施行を目指しており、遅くとも2023年の5月までにはアメリカザリガニの販売が禁止されることになりそうです。
アメリカザリガニの販売禁止のまとめ
ということで、アメリカザリガニの販売禁止と改正外来生物法について調べてみました。
今回の法改正で生態系の悪化を防げるのか?
飼う側のモラルも問われることになりそうです。